道助の自分セラピー

自分の心の取説。自分セラピーの発信。日本メンタルヘルス協会講座での学びと所感の記録。

「井戸を掘った人を忘れない」

恩義とは

 

 「井戸を掘った人を忘れない」という中国のことわざがあります。恩義を忘れずに、困った時に受けた支援を後々まで覚えている、という意味のことわざです。毛沢東氏の農民支援から生まれた言葉だそうです。

 

 

 この言葉を聞いたのは10年位前。とある営業先のお客様から、前任者に変わって初めて挨拶で訪問した時でした。そのお客様は、親の代からマンションを引き継いだばかりの時に、前任者から、親身に助言を受けて感銘したとおっしゃってました。そして、「前任者さんには、井戸を掘ってもらった。だから、今でも忘れないのだよ。」と。

 

 

 それから、長い年月をお付き合いすることになり、お客様からの指名もあり、修繕工事のタイミングで私が担当になりました。最善を尽くし工事を無事完了しましたが、簡単には行きませんでした。トラブル対応の為、上司にも出てもらったり、工事店の職方さんにも苦労してもらったり。今でも、あの工事は私の記憶の中に残っています。

 

 

 工事が終わり、お客様にも有難い程満足頂き、上司とお礼の挨拶に伺いました。満面の笑みと、ちょっと照れてしまう位の賛辞。親から継いで、初めての修繕に対する心配や不安、どうすれば良いのか困っていた、そんな話を聞かせて頂きました。感謝の思いは忘れない、と。

 

 

 人は不安や心配が大きければ、それだけ大きい期待をしていて、応えることが出来た時は、それ位の感謝もしてもらえる、そう思った体験でした。井戸を掘った人を忘れない。私もそうですが、生きていると、そんな人に出会う機会があるかと思います。感謝の気持ちを、ずっと持ち続けていられるような、素敵な恩人との出会い。

 

 どこでどう会えるかは分かりません。ただ、きっとあるかと思います。

 

 

 

 余談

 

 上司とお礼に訪問した時に、お客様から前任者への感謝の話もありました。前任者は私の先輩なので、謙遜気味に「前任者には敵いません。私は井戸を掘ったこともなければ、掘る技術もありません。今度その井戸をぜひ見せて下さい。」と。

 

 間が止まり、お客様と上司が目を合わせ数秒。お客様からはことわざの意味を教えられ爆笑、上司は「すいません、馬鹿なもんで」と爆笑。一人赤面の私。ぬぬぬ、理解した時には、時既に遅し。私は10年位前から、前任者は本物の井戸を掘ったと思っていたもので、その日私の顔から血の気が引くことはありませんでした。

 

 

 

 お読み頂き、ありがとうございます。

 

 

 

 

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